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気候変動に適応した調和型都市圏水利用システムの開発

見出し課題成果 - A.水質評価グループ -

 糞便汚染の起源解析の指標としてのコブウイルス属の有効性を評価することを目的として、ベトナム・ハノイ市の水環境からコブウイルス属のゲノムの検出・定量を行った。その結果、アイチウイルスの存在量は、ヒトのウイルス性胃腸炎の原因となる代表的なRNAウイルスと比較して多いことが明らかになった。更に、養豚場の廃水からは、ブタコブウイルスのみが検出されたことから、コブウイルスの検出により糞便汚染源の特定が可能であることが示唆された。水環境からのコブウイルス属の検出事例は今回が初めてであり、今後、情報の少ないコブウイルス属の遺伝情報を蓄積し、高感度な検出方法を確立する予定である。 水質変容ポテンシャルの創出については、再生水の基礎的な水質情報の収集を目的として、処理プロセスの異なる国内7か所の再生水処理プラントから工程水を採取し、同化性有機炭素濃度(Assimilable Organic Carbon:AOC)の測定を行った。その結果、オゾン処理を導入しているプロセスでは、オゾン処理によってAOC濃度が二次処理水の2-5倍に増加することを確認した。再生水のAOC濃度は20-400 mgC-acetate/Lであり、米国の事例(45-3200 mgC-acetate/L)と比較しても濃度は低い傾向にあることが明らかになった。更に、再生水試料から細菌の単離を行った。今後、これらの細菌の基質利用特性や増殖特性をスクリーニングすることで、再生水の水質変容ポテンシャルの測定に活用する予定である。また、再生水などの詳細な有機物分析を目的として、フーリエ変換質量分析計(FTMS)の導入を行い、前処理方法と共に、イオン化条件などの分析条件を検討し、分析プロトコルの確立を進めた。

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再生水処理プロセスにおける全菌数の変化

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