東京大学水環境制御研究センター・国立保健医療科学院合同ワークショップ
水源流域の水質管理 -水循環と今後の方向性-

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参加者からのご意見、ご提案、ご感想アンケートの抜粋

<流域マネジメント>

・命を守る水道水のためには流域単位での管理が重要と感じました。国土交通省、環境省との連携も重要だと思います。(微生物を含めた生物のバランス)
 後追いの対策より河川を健全にすることが必要です。
 水道料金に河川保全のための分担金を上乗せしても良いのではと思います。県境を越えて上流を対策できないのは困ります。

・水源管理について、他県の事業所、産業界、学術界、官公庁の協力が重要だと改めて感じました。また、春日先生の研究を現場で活かすためには、工場、河川、下水処理後の水中の構成原子の特徴をつかみ、簡易的に測定、または判定できればと思いました。

・流域(圏)管理(マネジメント)をステイクホルダーで考えるというお話は大変興味深かったです。外部環境変動として気候変動が挙げられていましたが、他にはないのでしょうか?気候変動は最も影響が大きいと思いますが、いろいろ副次的な変化が出てくると思います。

・水源流域の最近の知見について紹介していただき、勉強になりました。流域の管理として水循環基本法、水安全計画等ありますが、具体的に現場ではどのように活用し、水質保全につなげていくか、難しく感じました。河川管理者は量的な管理と考えると質的な管理の誰が責任は負って牽引するのかあまり明確でないように思います。
 浄水処理に関わる立場から障害について考えますとクリプトスポリジウム対策指針のろ過水濁度0.1度以下から、非常に現場でのコントロールは厳しくなっているように感じます。

・流域管理の話の中で、現況の把握と将来のイメージを持つことが重要と言うことであった。水道事業体として単独で行うことは難しいとは思うが、流域協議会での議題としては良いと思う。後は、事業体の範囲の中で行うことができる業務はどの程度か(検討が必要)。

・アメリカでは流域を主体として管理しているとのことですが、日本で進めることができるのでしょうか?障壁として考えられるのは何でしょうか?民間が果たす役割は?

・水循環基本法というトップ(上位)の枠組みが、現在ボトムアップの実働している各流域協議会の活動にどうリンクして効果をもたらすのかに興味があります。多分に社会学的な側面が強いテーマと再認識しました。

・古米先生のお話で、水に係わる法律の文言の定義及び歴史的なモノの見方に感激しました。

<藻類・かび臭>

・放線菌によるかび臭発生事例はアンケートにはありませんでしたか?水道で藻類を識別できる人は少ないのではと思いながら聞いていました。

・河川のかび臭問題について、付着藻と着生藻を分けた方が良いと思います。今そのようなデータを取っています。

・硫酸銅散布のタイミングの決定指標について関心を持ちましたが、質疑で経験的にAnabenaについては決められていることが分かりました。ジェオスミンと2-MIBが同濃度の場合に、住民からの苦情に違いがありますでしょうか。

・業務で植物プランクトンの同定、計数を行っております。ダム湖での植物プランクトンの調査も行うことが多いのですが、現場で求められている結果と我々のような業者が出している結果に開きがあるように感じました。今後はもっと現場で生かせるような結果の出し方を工夫していきたいと思います。

・利根川と奈良の河川で同種のラン藻が出ているのは、自然界の生物移動によるのではなく、人為的な移動(例;稚アユの放流など)が影響する可能性もあるのではないでしょうか。カワヒバリガイを含め、一旦河川等に移入してしまうと全くいなくなることは難しいと思います。

・異臭味被害人口は都市部の高度処理導入で減少し、ほぼ解決したかと思っていたが、再度多くなっていること、これまで出ていなかったところでも問題となっていることを聞き、驚いた。今後の対策について早急に検討する必要を感じた。

<微生物ループ・FT-MSを用いた有機物解析>

・春日先生の発表内容は学生に戻ったような気持ちで興味深く聞かせていただきました。Limnohabitansは淡水だけにいるのか?(質疑で分かったのですが)緑藻類のようなものにはいるのかが気になりました。

・春日先生のテーマは興味深く、潜在的に応用先が多いように感じました。水質管理の予防保全的な使い方だけでなく(意見で「妄想」があったように)浄水。排水で全く新しい発想のプロセスへの応用も可能性があるように感じました。

・分子レベルでDOMを見るのはとても興味が出ました。Orbitrap型フーリエ変換質量分析計はすごいと思いました。修了の研究で中山間地の水質調査と解析をしていたので、その時あれば!との思いです。他にもとても多くのことを知ることができてよかったです。

・春日氏の水質形成過程の話、微生物ループの話がとても興味深かった。社内の技術者に聞いたお話を水平展開するのに、もっと内容が説明された資料が欲しいです。

・正に日本がリードすべき内容であると思う。-水源DOM分子ライブラリー、DOMモニタリングの開発・普及を期待しております。

・カーボンサイクルのお話しは、昔から個人的に興味を持っていたことでしたので、大変面白く伺いました。今後の展開を楽しみにしております。皆が研究を始めるとこの分野での世界が広がって進展があるのではないかと期待しています。

・DOM多成分の解析には大気のPM2.5の発生源寄与の解析手法が参考になるかも知れません。また、微生物の方は、農業の土壌診断の手法が参考になるかも知れません。

<水道事業・地域創生>

・地域創生事業の一環で上下水道についても取り組むこととなり、今日のお話はとても勉強になりました。大学院での研究以来なのでどれも新鮮でした。小規模水道では課題を抱えながらも打つ手が無い状態が深刻化している。

・水道事業(供給側)の問題点として、大規模事業体と小規模水道(人口5万人未満)の格差が拡大している一方、年間約100団体で料金改定し、うち5割近くが値下げ。施設はボロボロです。首長、地方議会議員の認識欠如と説得できない水道職員。人事制度・人事慣習が破綻し、専門職員の減少・消滅の危機にあります。

<モニタリング・危機管理>

・本日は貴重なお話しをありがとうございました。分析関連の仕事をしております関係から水質モニタリングの最新の研究のご成果や水質の変化の状況などをお伺いできましたことが参考になったと存じます。水質に関しましては、どのレベルまで精密測定を行うべきかなどの検討も行われていくかと存じますが、現場の声やニーズ、資材提供メーカーなどの超えもお聞かせいただければ有り難いと存じます。ありがとうございました。定期的な開催が行われれば良いと存じます。

・日本もISのターゲットとなったことから、東京オリンピックでのテロ対策として水源や浄水場への毒物投入事案に備えた検討を都と水環境学会などで開始してはいかがか。「想定外」は許されぬため、対応のデータベースを作り保持しておく必要がある。

<全体>

・今回のワークショップ、時間を忘れるほど興味深い内容であった。

・データを集めて提供する団体の構築は、とても重要だと思います。日本の縦組織を繋ぐ方法として、NPOとか県中心とか以外にあればいいのですが。

・流域関連情報の発信・公開と共有が今後ますます重要になるであろうと思います。今回のような企画がこれからも続けられることを期待しております。