過去の研究内容

水質制御技術・素材 部門 水システム管理 部門 国際水環境 部門 国際下水疫学講座

【過去の研究内容】水質制御技術・素材部門


ナノ構造高分子液晶膜を用いる水からのウイルスや微量有害物質の効率的除去(~2024年度/加藤隆史教授)

ウイルスや有害物の無い安全安心な水の確保は、世界的に重要な課題となっています。水中の微量有害物質の効率的な除去を可能にする多孔質高分子膜を開発しています。自己組織化により形成するサブナノあるいはナノメートルレベルの孔径が揃った秩序のあるチャネルを有する液晶高分子膜を活用は、ウイルスなどを高度に除去するのに有用であることが示されています。

写真: 液晶分子が秩序だった構造になる性質を利用した、水を浄化する水処理膜

【過去の研究内容】水システム管理部門


都市沿岸域における雨天時汚濁現象の解明
(~2021年度/古米弘明教授)

雨天時流出汚濁源には、道路交通等に由来するノンポイントソース汚濁負荷、合流式下水道雨天時越流水などが挙げられます。重金属・多環芳香族炭化水素類などの有害微量汚染物質による汚染だけでなく、受水域における糞便汚染も評価することが求められます。そこで、合流式下水道雨天時越流水由来汚染物質のモデル挙動解析や水辺空間における健康リスク評価を目的とした研究をしています。

写真:東京港沿岸域における降雨後採水調査


グリーンインフラなどの雨水流出抑制対策の評価
(~2021年度/古米弘明教授)

都市雨水管理において、河川改修や下水道整備とともに雨水流出を抑制する浸透・貯留施設を設置する流域対策が重要となっています。緑地空間を生かした流出抑制施設であるグリーンインフラは、魅力ある居住空間の創出、雨水をゆっくり流すことによる浸水対策の強化、地下水のかん養、市街地排水中の汚染物質の除去など、多面的な機能を有しています。そこで、流域水循環モデルを構築してその機能を定量的に評価する研究をしています。

写真:流出抑制効果を持つグリーンインフラの事例

【過去の研究内容】国際水環境部門


アジア開発途上国における都市水ガバナンス確立と水不平等の改善
(~2024年度/滝沢智教授)

急速に都市化が進むアジア開発途上国では、都市の水不足が深刻化し、市民の健康や生活、都市経済に深刻な影響を与えています。これらの都市では、水ガバナンスの欠如により極端に不平等な水供給が蔓延しています。本研究では、これらの都市において、水不平等指数を用いて不平等な水供給の現状を明らかにし、それを解消するため、水ガバナンスの改善方策を明らかにします。

図:ネパール・カトマンズにおける給水頻度と給水時間(クリックで拡大表示)


水道分野中核人材育成プログラム(~2024年度/滝沢智教授)

都市人口の増加と経済開発により、アジア諸都市の水需要が急増しています。これらの都市では、水需要が供給能力を上回り、水不足が深刻化しています。このような水不足を解消するためには、水道事業に関する法制度の整備とともに、水道事業者における人材の育成が急務です。本プログラムでは、アジア開発途上国の水道技術者を大学院修士課程に受入れ、現地の課題解決を通じた人材の育成を行っています。

写真:ラオス首都ヴィエンチャンで開催した水道事業セミナー


環境管理における適正技術の確立、水安全計画・衛生安全計画の普及
(~2020年度/浅見真理教授)

安全な飲料水の供給と基本的な衛生設備へのアクセスは、人権として国際的に認められています。給水および衛生施設の実施を促進するためには、地域の状況-技術的、文化的、社会的および経済的側面を考慮することが不可欠です。社会基盤の実装に必要となる「適正技術」、「水安全計画」や「衛生安全計画」のコンセプトを生かしたプロジェクトの推進に関する研究を進めています。

写真: カンボジア郊外での水質調査

【講座の研究概要】国際下水疫学講座


下水疫学調査は、感染者から排出されたウイルス等の病原体が下水処理場に集積するという下水道インフラの特性をうまく活用した公衆衛生情報取得手段であり、感染症発生の早期検知と感染動向把握のためのツールとして社会的に期待と注目を集めています。2024年3月に発足した国際下水疫学講座では、「下水疫学」という新たな学問分野を開拓するとともに、国内外での下水疫学調査の実装を通して感染症に強い社会の構築に貢献することを目指しています。